根本敬『因果鉄道の旅』を読んだ。

 今年2冊目の読書。順調なペースだ。

 「でもやるんだよ」の名台詞を目当てに読み始めたけど、それ以上に最近考えていることと重なる部分もあって、楽しめた。

 人間はそれぞれの神様、宗教、物語みたいなものを持っていて、それを妄信する人間は、少し距離を置いた視線で見ると、ち滑稽ではあるが、言葉にし難い魅力もある。根本敬の視点は、こういった盲信者に対して、なんの感情も抱かず、「あ、そうですか」と素っ気なく眺める。そういった現実に対する冷めた視点みたいなものが、この現実を生き抜く手段みたいなものだと、最近思うこともある。

 興味のないことには素っ気ない態度をとる。尹老人のそんな態度は、自分の物語にいかに集中する為の手段である。

 久しぶりに本を読む習慣ができて、できるだけ多くの人に読まれること目的としない文章の面白さを感じている。人の興味のないことでも、整理すればそれは立派な資料となる。

 

因果鉄道の旅 (幻冬舎文庫)

因果鉄道の旅 (幻冬舎文庫)